おちらと日記

ロゼワインってどんなワイン?

こんにちは!湯宿草菴(草庵)のソムリエール、峠(たお)ゆきえです。

暖かく過ごしやすい日が続くようになりました。春になり桜の季節になってくるとピッタリのワインがあります。それは桜のように鮮やかな色彩を魅せてくれるロゼワインです。

ひと口にワインと言っても様々な種類があることはご存知の通りです。その分け方のひとつは【色】ですね。ワインの色に注目してみると、大きく分けて【白ワイン】と【赤ワイン】がありますがその中間、美しいピンク色をした【ロゼワイン】というものも皆様耳にしたり目にしたり、はたまた飲んでみたりしたことがあるかと思います。

今回はそんなロゼワインについて詳しくご紹介してみたいと思います。これを読めばより一層ロゼワインを楽しむことができ、飲んでみたくなると思いますので最後まで是非ご覧下さいませ!

ロゼワインとは?

【ロゼ】とはフランス語で【rosé】と綴り、これは【バラ色】という意味です。バラ色のワイン、ということになりますが、単純にバラ色、ピンク色と言っても実は非常に淡く透き通るような薄い色から、赤に近いような鮮やかな色まで幅広い色彩のロゼワインがあります。

幅広い色彩はそのまま幅広い味わいに繋がっていて、繊細な味わいの料理や魚介類といった通常白ワインを合わせるような食事から、比較的あっさりとした程度の味わいの肉料理など、通常軽めの赤ワインを合わせるような食事まで、様々な食事のシーンをロゼワインと共にすることができます。

また、ロゼワインはその色彩からどのような造り方をするかある程度予測することができます。製法は様々あるのですがとてもザックリと説明すると、ロゼワインは【赤ワインを造る原料ぶどう(黒ぶどう)を使って、白ワインを造る方法を用いてできあがるワイン】です。

それではロゼワインにはどのような造り方があるのか詳しくご紹介致します。

ロゼワインの製造方法

ロゼワインの製法は主に以下の方法に分けることができます。

浸漬法(マセラシオン法)

最も一般的なロゼワインの製法で、潰した黒ぶどうの果汁を果皮や種、果梗と供にしばらく漬け込んでおき、果皮から色が果汁に付き始めてピンク色になった段階(赤ワインの色にまでならない時点)で果汁を抜き取り、それを発酵させたものが浸漬法(マセラシオン法)によるロゼワインです。どの程度の漬け込むかによって色の濃さや味わいが変わってくるので、様々な味わいのロゼワインがあります。

セニエ法

この方法は前述した浸漬法とほぼ同じなのですが、目的が異なります。セニエ法でできあがるロゼワインは、赤ワインを造る上でより濃厚で成分の強い赤ワインを造るための副産物であると言えます。どういうことかというと、赤ワインの製造過程で、潰した黒ぶどうの果汁を果皮や種、果梗の混ざったものから、果汁の一部だけを抜き取り、残った部分では果汁を抜いた分だけ、より果皮や種、果梗から濃厚な成分を抽出するという方法があります(果汁の一部は抜いたけど、果皮や種、果梗の量は変わらないから)。これで赤ワインができあがりました。
では初めに抜き取った一部の果汁はどうなるの?実はこの抜き取った果汁を発酵させて造ったロゼワインこそがセニエ法によるロゼワインなのです。セニエ法でできたロゼワインは比較的色合いの濃いロゼワインが多く、フランスではボルドー地方でよく見ることができます。
ちなみにセニエとはフランス語で【血抜き】という意味があり、赤く色付いた果汁から一部を抜き取る様子を由来としています。

※日本ソムリエ協会の教本をはじめとして、解説によってはこの浸漬法とセニエ法を同じもの、つまりセニエ法としているものもありますが、本記事では分けて分類しています。浸漬法は初めからロゼワインを造る目的の製法で、セニエ法は濃厚な赤ワインを造る目的の過程でできる副産物から生まれるロゼワインだという認識からで、それらは別物であると考えるからです。

直接圧搾法

直接圧搾法は、黒ぶどうを絞り、その時点で果皮等からわずかに色素が出た状態で果汁だけを発酵させて造るロゼワインです。果皮等を果汁に漬け込むことがなく、絞っただけで出た色素のみとなるので色合いが非常に淡く桜色のように美しいロゼワインで、味わいもスッキリとしたタイプのものが多く見られます。

混醸法

白ワインの原料ぶどうである白ぶどうと、赤ワインの原料ぶどうである黒ぶどうを混ぜた状態で発酵させて造るロゼワインです。使用するぶどう品種や割合などにより様々なタイプのロゼワインがあります。

アッサンブラージュ法

ワインを混ぜ合わせることをアッサンブラージュといいます。ロゼワインにおけるアッサンブラージュとは、赤ワインと白ワインを混ぜてロゼワインを造ることを言いますが、EUの規定により一般的に赤ワインと白ワインを混ぜてロゼワインを造ることは禁止されています。但しひとつだけ例外があって、フランスのシャンパーニュ地方における発泡性ワインではこの製法が認められており、アッサンブラージュ法による発泡性のロゼワインが造られています。

ロゼワインの味わいや飲み方は?

様々な製法をご紹介したようにロゼワインの味わい非常に幅広いものになりますが、一般的には長期熟成させるようなこともなく、フレッシュな果実味が残るサッパリとした味わいのものが多くなります。もちろん、赤ワインに近いような濃く鮮やかな色をしたタイプのものはある程度の飲みごたえや複雑さを備えたものもありますが、それでドッシリとしたフルボディのタイプのものは無いでしょう。

ロゼワインを飲む場合の適温は、淡い色合いの白ワインに近いタイプのものは8℃から10℃程度、濃い色合いで赤ワインに近いタイプのものは10℃から12℃程度にすると良いと思います。

特筆すべきは料理との親和性の幅広さで、コース料理の最初から最後までロゼワイン1本でまかなうこともできる位、懐の深いワインであると思います。

中でもスパイシーな味わいや辛い料理を頂く際、冷たいものが欲しくなりますが白ワインだと料理に負けてしまい、赤ワインを冷やして飲むとワインの渋みが出てしまうという状態に陥ってしまう中、中間に位置するロゼワインはその料理の中で丁度よい立ち回りをしてくれると思います。
和食で挙げるならば山椒を使用した料理などがそれに当たるのではないでしょうか。

ロゼワインは、1本何十万円もするような超高額な高級品は見られません。数千円から高くても1万円程で殆どの銘柄が購入できますので、どちらかというと気軽に、カジュアルなシーンで飲むこともできます。
しかしこれが発泡性のロゼワインとなると事情がガラッと変わります。シャンパーニュを始めとする発泡性のワインでは、白ワインよりロゼワインの方が高級なものが多くなります。それこそ1本何十万円もするような超高額銘柄も珍しくありません。こういったものはどちらかというとお祝いのお席や、何か特別なシーンで振る舞われることが多いでしょう。

季節に合わせてロゼワインを

いかがでしたでしょうか?今回は美しく鮮やかなロゼワインの解説をしてみました。暖かくなって参りましたこの季節から、暑さを感じる夏に向けてピッタリのロゼワイン。フランスでは夏の風物詩ともされており、暑くなってくると店頭に並ぶ量も多くなってくるそうです。是非皆様もお試し下さいませ!

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