神在祭といえば、出雲大社が全国的に有名ですが、実は出雲地方には他にも神在祭を執り行う神社があることをご存知でしょうか。
出雲市内では、出雲大社を含めて合計4社で神在祭が執り行われています。
今回は、出雲の神在祭を執り行う神社を、それぞれの特徴とともにご紹介します。
朝山神社(あさやまじんじゃ)
朝山神社の神在祭: 11月20日(木)~11月29日(土)(旧暦10月1日~10日)
所在地: 出雲市朝山町1401
ご祭神
真玉著玉之邑日女命(またまつくたまのむらひめのみこと)
神社の特徴
標高170mの山頂付近に鎮座する朝山神社は、清らかな森の空気と清流に包まれた神聖な場所です。
神在祭での役割
全国の神々が出雲に参集される際、まず最初にこのお社に立ち寄ってから神議をし、出雲大社へ向かわれるという伝承があります。いわば神々の「最初のお迎えの場」として重要な位置づけになる神社です。
出雲大社(いずもおおやしろ)
出雲大社の神在祭: 11月29日(土)~12月6日(土)(旧暦10月10日~17日)
所在地:出雲市大社町杵築東195
神迎えの儀式
旧暦10月10日の夜、稲佐の浜には八百万の神々を迎える御神火が焚かれ、龍蛇神(海蛇)を神々の先導役として神迎えが行われます。
神事が終わると、神籬(大榊に細長い幣をつけたもの)に宿られた八百万の神々を、出雲大社へとご案内します。
神々のご滞在
神々は、大社に滞在する7日間、出雲大社境内の東西にある十九社で宿泊され、上宮(仮宮)で神議(会議)されると言われています。
◆出雲大社の神在祭について詳しくはこちら◆
【神在月】出雲大社での神在月・神在祭について(2025年版)
日御碕神社(ひのみさきじんじゃ)
日御碕神社の神在祭: 11月30日(日)~12月6日(土)(旧暦10月11日~17日)
所在地: 出雲市大社町日御碕455
ご祭神
日沉宮(ひしずみのみや): 天照大御神(あまてらすおおみかみ)
神の宮: 素盞鳴尊(すさのおのみこと)
この両社を総称して日御碕神社といいます。
神社の特徴
建物14棟と鳥居、石灯籠が国の重要文化財に指定されている由緒ある神社です。
青い日本海と緑の松林を背景に、鮮やかな朱色の神殿が映えるその美しさは、一見の価値があります。
万九千神社(まんくせんじんじゃ)
万九千神社の神在祭: 12月6日(土)~12月15日(月)(旧暦10月17日~26日)
神等去出祭: 12月15日(月)(旧暦10月26日)
所在地:出雲市斐川町併川258
ご祭神
【三柱】
・櫛御気奴命(くしみけぬのみこと)
・大穴牟遅命(おおなむちのみこと)
・少彦名命(すくなひこのみこと)
八百万神
神在祭での役割
神在月に参集された神々は、出雲路の最後にこの社へ立ち寄り、会議の締めくくりと直会(なおらい)と呼ぶ宴を催したのち、明年の再会を期して各地への帰路につかれるといいます。
神等去出祭(からさで)
旧暦10月26日の夕刻に執り行われる神等去出祭は、参集された神様が全国へお帰りになる儀式です。神と人々の前途を祓い清める当地独特の湯立神楽が舞い奏でられ、厳かな雰囲気の中で神々をお見送りします。
おわりに
出雲の神在祭は、出雲大社だけでなく、このように複数の神社がそれぞれの役割を担い、神々をお迎えし、おもてなしし、お見送りするという壮大な神事なのです。
朝山神社での最初のお迎えから、万九千神社での神等去出まで、一連の流れを知ることで、出雲の神在祭がより深く理解できるのではないでしょうか。
出雲を訪れる際には、ぜひこれらの神社にも足を運び、古くから続く出雲の神事の歴史を感じてみてください。